**公的年金財政の将来見通しで国民年金の給付水準を高める検討が進む**。
### 概要
日本の厚生労働省は、7月3日に公的年金の財政状況をチェックし、将来の給付水準の見通しを示す「財政検証」の結果を発表した。この検証では、将来の経済状況や人口動態を仮定して、財政収支や給付水準が試算され、国民年金の給付水準を高める検討が進んでいる。
### 背景
公的年金制度は長期的な制度であり、社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証することが不可欠である。財政検証は、5年に1度行われ、国民年金や厚生年金がこの先100年にわたって維持できるかをチェックするもので、年金の「定期健康診断」とも呼ばれている。
### 財政検証の結果
この検証では、経済前提について、長期の実質経済成長率がプラス1.6%からマイナス0.7%までの4つのケースを想定し、それぞれ試算が行われた。また、人口の仮定として、2070年時点の合計特殊出生率を1.36、平均寿命を男性が85.9歳、女性が91.9歳、それに外国人の人口は、2040年まで毎年16万4000人の入国超過となることを標準としている。外国人の人口については、2070年に全体の1割を超えるという国の研究所の推計を踏まえ、年金財政への影響も大きくなると予想されることから、今回初めて、増加の程度が加味されている。
### 将来の給付水準
検証の結果によると、将来の給付水準は、現在の水準を維持することが可能であると示された。特に、夫婦の年金額が、現役世代の男性の手取り収入の何%に当たるかを示す「所得代替率」は、2024年度には61.2%と見積もられており、将来も50%を下回らないようにすることが目標としている。
### 改革の方向性
厚生労働省は、今回の検証結果を踏まえて、秋にも与党と年金制度改革の議論を始める予定である。具体的な策として、基礎年金の拠出期間延長や給付増額、被用者保険の適用拡大、マクロ経済スライドの調整期間の一致などが検討されている。
### 関連するその他のニュース
- 厚生労働省は、基礎年金の保険料支払期間を現行の40年から45年に延長する案を撤回した。
- 将来の給付水準について、夫婦の年金額が、現役世代の男性の手取り収入の何%に当たるかを示す「所得代替率」が50%を下回らないようにすることが目標としている。
### リンク
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