東京大総合研究博物館で所蔵している縄文時代の頭蓋骨に刺された形跡が見つかった。
概要
東京大学総合研究博物館で所蔵している約6000年前の縄文時代前期の頭蓋骨に、鋭利な道具で刺された形跡が発見されました。この頭蓋骨は岡山県倉敷市の貝塚から出土し、約100年前に発見されていました。調査の結果、額部に円形や楕円形の孔が多方向からあけられており、利器の刺突によってできたものと考えられます。この発見は、縄文時代の暴力や死後の儀礼的行為の存在を示唆し、既存の縄文人骨コレクションの中に未報告の類例が存在することを予見させるものです。
背景
縄文時代は、弥生時代以降と異なり、集団どうしの組織的戦闘の証拠が見当たらない平和な時代とされています。ただし、1922年から1982年にかけて十数例の「殺傷人骨」が報告されており、近年の分析的研究でもこれらが引用されて、縄文人の暴力や闘いのあり方が考察されてきました。
新発見の頭蓋骨
この頭蓋骨は、額部に鋭利な道具で刺された形跡があり、肉眼観察とCTスキャンを用いて法医人類学的基準で診断されました。孔の形状は、利器の刺突によってできたものと考えられ、死後の儀礼的行為の可能性も検討されています。
縄文時代の研究
この発見は、縄文時代における暴力行為の実態解明に向けた研究の、新たな開始点となります。既に報告されている「殺傷人骨」についても同様の検討を行い、縄文人の頭蓋骨に円形や楕円形の孔が多方向からあけられている実態を記載しています。
東京大学総合研究博物館の展示
東京大学総合研究博物館では、特別展示「骨が語る人の『生と死』日本列島一万年の記録より」を開催しています。この展示では、遺跡から発掘される骨からわかる祖先たちの知られざる素顔を探り、初公開資料も多く展示されています。
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