「異世界転生」などのマンガがメンタルに与える影響について心理カウンセラーが提言した。
概要
心理カウンセラーの浮世満理子氏は、マンガやアニメの「異世界転生」や「溺愛系」が現代人のメンタルに与える影響について提言した。彼は、現代の生きづらさを背景に、これらのジャンルが好まれる理由を分析し、特に男性と女性の心理的なニーズに焦点を当てた。
背景
「異世界転生」は、2000年代に登場したジャンルで、Web小説投稿サイト『小説家になろう』内の小説を原作としたアニメ・コミカライズ作品がブームとなった。現在でも、コミック市場で人気を維持しており、電子書籍サービス・コミックシーモアの2023年売上は5年前比で9.8倍に達している。特に30〜40代の男性が主な読者層であり、初期ファンも根強く愛好している。
マンガの現実逃避
浮世氏は、マンガの「異世界転生」や「溺愛系」が現代人の現実逃避の願望を満たしていると指摘する。男性は社会的枠組みに縛られがちで、就活に成功するか失敗するかで人生が決まってしまう風潮があり、努力がしたくないわけではないが、現世では努力のチャンスすら与えられないと感じている。異世界転生の主人公が転生先でチートスキルを発揮し、無双するのは、男性が求める「生き直し」の形であると分析される。一方、女性は疲れ切った現代社会で、保守や癒しを求めていると指摘される。
異世界転生と溺愛系の性差
浮世氏は、異世界転生と溺愛系の性差についても言及した。男性は「生き直し」を求め、異世界転生の主人公が転生先でチートスキルを発揮し、無双する様子を好む。一方、女性は「溺愛系」にハマることが多く、王道ストーリーにプラスされた「溺愛」要素が人気となっている。特に2023年と2024年に『電子コミック大賞』大賞を受賞した『鬼の花嫁』『ホタルの嫁入り』などが挙げられる。
エンタメによるカウンセリングの役割
浮世氏は、エンタメを用いたカウンセリングの役割についても言及した。彼は、エンタメを通じて現代人の心理的なニーズを捉えることができ、カウンセリングの手法として有効であると指摘する。
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「異世界転生」や「溺愛系」が人気を維持している背景には、現代社会の生きづらさや、努力のチャンスが少ないと感じる男性、疲れ切った女性の姿が存在する。エンタメを通じてこれらのニーズを満たすことができ、カウンセリングの手法としても有効であると指摘される。